あいなめ泳がせ事件 鮎斗君のお父さんが小名浜で釣ってきた小さなアイナメが消えたと思ったら、お風呂場の影に落ちていた。

鮎斗君
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消えたアイナメ

鮎斗君のお父さんはある日小名浜に釣りに行って小さなアイナメを釣ってきました。アイナメは大きいものだと35センチ~40センチくらいになるがその日釣れたのは15センチほどの生まれて1年ぐらいの幼魚一匹だけだ。アイナメはたった一匹だけだったけど、美味しく唐揚げにして食べるつもりで冷蔵庫に入れて置いた。大きいアイナメなら3枚におろして刺し身が美味しいし、塩焼きや煮付けも美味しい魚だ。小さいものは頭だけ落として内蔵を取ったら、沢山とれたときは軽く塩をして干しかごに入れて一晩干したのを焼いたり揚げたりもいいが、とにかく一匹だけだから、鱗も細かいからそのままでも気にならないし中骨も柔らかいから、まるごと片栗粉をまぶして唐揚げにして食べるのが手っ取り早いと思った。

冷蔵庫のアイナメが見つからない。いくら小さいと言っても消えるはずは無い。庫内くまなく探しても無い。冷凍庫にも無い。不思議だ。考えられるのは一つしかない。

その頃の鮎斗君は冷蔵庫にある生物を食べてしまう事が度々あった。もともと生臭いものが大好きなのだ。特に塩辛が好きで、お父さんやお母さんの見ていない隙きを狙ってぺろりと食べてしまうのだ。刺し身はもちろん大好きで特にカツオは大好物だ。気を付けないと生の豚肉も鶏肉も何でも食べてしまうので腹痛を起こさないか心配することもしばしばだ。とにかく丈夫な胃のおかげで腹痛を起こしたことはなかった。消えたアイナメで思い当たるのは、”鮎斗君が食べてしまったのか”ということだが丸ごと全部残さず食べてしまうことは無いだろう、いくら柔らかいとは言え中骨は生ではかなり口に残るので吐き出すだろうから、しかしその形跡も無かった。本当に何も残さず全部丸ごと飲み込んでしまったのだろうか???。

なんだか生臭いお風呂場

アイナメが冷蔵庫から消えて2日目位からお風呂場がなんだか生臭い臭気が出始めた。お風呂場の少し蒸し暑い湯気の匂いや石鹸等の匂いに混じって、何だろう、何で生臭いのか分からなかったが、この臭いの原因を隅々まで探した。湯船と壁の1センチ程の隙間を懐中電灯で照らして見た。臭いの主が判明した。そこにあったのはあの行方不明のアイナメだった。鮎斗君が食べてしまったのかと心配していたが、そうでは無かった事が分かっただけでもとにかく良かった。きっと、鮎斗君はアイナメをお風呂で泳がせようとしたんだろう。そして泳がないアイナメをポイと捨てたのだろう。これは鮎斗君に聞かないとわからないが、遊んでいたミニカーなんかを住んでいた6階のベランダからポイと投げ捨てることがしばしばあったから、遊びあきたか、泳がないアイナメに諦めてポイした事は十分考えられる。

鮎斗君は冷蔵庫でアイナメを発見して、それが水の中で動いている生き物だと思って、お風呂で泳がせようと考えたのだろう事は想像がつく。これは、自閉症の少年が、きっとどこかテレビかなにかででも、魚が泳ぐ様子を目にしていて、それを記憶していたのだろう。冷蔵庫にあったアイナメをその魚に重ねて見る、そう考えたことがすごいことだと思うと鮎斗君はすごいねと思った。何気ない仕草や行動の一つ一つに僅かでも成長の証が見られたのが親として嬉しかった。

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