鮎斗君は人と関わるのが苦手。音の刺激に敏感。障がい者も普通に生きて暮らしています。

鮎斗君
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冷たい視線

 

鮎斗君は何かいつもと違う特別なことや予測のつかない新しいことに出くわすと、両手の甲を耳に押し当て「ウー、ウー」と唸り声を上げます。鮎斗君は耳から入る音にとても敏感に反応します。例えば、スーパーやコンビニなどに買い物に連れて行くとき、店内に流れているバックグラウンドミュージックが響いていますが、これが鮎斗君にとっては異常な強い刺激となって襲ってくると感じているようです。この強い刺激から逃れるために、両手で耳を塞ぎ、うなり声を発するのです。これはその外部からの音(刺激)を自分自身の声を頭中に響かせることで遮断しようとしているように思います。店内に入ると同時ににそのような行動が始まって店内に「ウー、ウー」と重低音の唸り声が響き渡るので、店内の他の買い物客は手を止めて振り返り、「何、何、何事っ!!」と言うようなまるで不審者を見咎めるかのような冷たい視線を一斉に浴びることになります。

 

その冷たい視線は店内に居る間中、店の外に出るまで続きます。そんな中で、一瞬だけ見て「障がい者」と分って、すぐに視線を外してくれる人もいる。なにが辛いって、私たちを汚いものでも見るかのような視線を、姿が見えなくなるまでずっと追い掛けて見続ける人も少なくない。そんな時はお父さんは非常に耐えがたい惨めな気持ちになります。

 

負けない力をください

 

それでもお父さんは、そういう人たちに対して ”世の中にはこういう人もいるんだ。色んな人がいていい。” と思っています。「冷たい視線」と言ってもそれはそう見えているだけで、本当は障害を持っているという事実に対して、自分自身が卑屈になってしまっていることが、そう見せているんだと思うんです。

 

鮎斗君と一緒に暮らしてきた30年あまりの間、街中至る所に出かけてきた。そんな中でも殆どといっていいくらい鮎斗君以外の知的障害に出会ったことがない。鮎斗君は障がい者支援施設に通っていますから、そこに一緒に通園している障がい者にはたまに街中で見かけることがあるけど、それはほんの数える程だ。お父さんは会社が休みになると毎週、毎回、一日中街中に散歩に出かけます。コンビニやスーパー、公園にも行くし電車に乗って他の町へ行ったりもする。散歩で10kも20kも歩道をあるく間、車道を走る多くの車の窓越しに中から私たち親子に対して「なんだあの人!」と視線を送ってくるのを感じる。お父さんは「なんだよ!いつまで見てるのか!。障がい者がそんなに珍しいの?」と思う。

 

でもお父さんは、自分でも事実そういう、一見して ”障がい者” と分かる人を街では殆ど見かけないのだから、普通の人達にとってはそれはとても珍しい光景なのかもしれないから無理もないことだと思う。だからお父さんは頑張って、鮎斗君を隠したりしないで外に連れていく。「障がい者は普通にいますよ!」「障がい者だってあなた達と同じ人間ですよ!!」と心の中で叫んでいます。どこに、いつ行っても普通にもっと多くの「障がい者」を見かけることが出来るようになれば、きっと、珍しそうに ”じろじろ” 見られるようなこともなくなるんだろうなと思います。

 

 

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